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2022年2月26日土曜日

理学療法士の三枝信吾さんの症例報告が理学療法学に掲載されました.

 三枝信吾さんの症例報告「二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して栄養療法と運動療法の併用により自宅復帰に至った一例」が日本理学療法士協会の雑誌「理学療法学」に掲載されました.日々の臨床を丁寧にまとめた内容になっております.是非ご一読ください.

二次性サルコペニアを合併したTrousseau症候群の症例を経験した.Trousseau 症候群は機能予後および生命予後が不良であるが,手術療法により生命予後が良好な例が報告される.しかし,周術期管理に伴う侵襲,廃用,栄養不良による,二次性サルコペニアの合併が指摘されており,本症例においてもその可能性が示唆された.そのため,分岐鎖アミノ酸を含む栄養療法と低負荷高頻度Resistance Trainingを中心とした運動療法を実践した.その結果,握力は右18.9 kg/ 19.3 kg,快適歩行速度は1.17 m/ 秒,Skeletal Muscle mass Index5.6 kg/m2と各指標で改善を認め,歩行自立で自宅退院となった.二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群患者においても,適切な栄養管理下の運動療法は効果的である可能性が示唆された.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/advpub/0/advpub_12208/_article/-char/ja




2021年8月13日金曜日

第32回兵庫県理学療法学術大会で理学療法士の久保宏紀さんがシンポジスト,清家はるかさんが発表を行いました.

 7月18日に開催された第32回兵庫県理学療法学術大会で,理学療法士の久保宏紀さんがシンポジスト,清家はるかさんが阪神北ブロックの新人発表推薦演題として発表しました.


久保宏紀:回復期・生活期脳卒中におけるリスク管理 ~再発予防に向けた包括的な取り組み~ (シンポジウム名:回復期から生活期における攻めのリスク管理)

脳卒中発症後に生じる脳循環自動調節能の破綻は長くて3ヶ月程度で消失することが示されている.したがって回復期や生活期のリスクは脳循環ではなく,脳卒中に続発して生じるリスクに目を向けておく必要がある.脳卒中の再発やサルコペニアの発生は回復期や生活期のリスクとして挙げられ,これらの予防において身体活動量の維持・向上は取り組むべき課題と考える.脳卒中患者の身体活動量は低く,特に急性期や回復期で低下しているため,理学療法士はこの時期より身体活動量の増加に目を向けておく必要がある.当院の回復期病棟では1ヶ月おきに身体活動量を計測し,患者様へ視覚的にフィードバックを行っている.またリハビリ以外の時間にも身体活動量を促進できるよう取り組んでいる.脳卒中再発予防には1日6025歩と報告されているが,発症2ヶ月時点で1日1632歩の歩数が得られていれば1年後には6000歩に到達するという研究もある.したがって,回復期病棟では1日2000歩程度を目標に開始し,運動機能に応じて増加を図っていってはどうかと考える.


清家はるか 他:歩行時のstiff-knee gaitと内反尖足に対し,ペダリング運動と電気刺激療法を併用し歩容の改善を認めた左被殻出血の一例

 

左被殻出血後に生じたstiff-knee gaitと内反尖足に対して,ペダリング運動と電気刺激療法の介入結果について報告した.初期評価では歩容はT-caneとオルトップAFOで屋内自立,歩行時の遊脚期の膝関節最大屈曲角度は約45度,内反尖足を生じていた.膝関節屈曲角度の向上を目的にペダリング運動,内反尖足の改善を目的に電気刺激療法を実施し,最終評価では歩容は装具なしで屋外自立,歩行時の遊脚期の膝関節最大屈曲角度は約65度まで向上し,内反尖足が改善された.ペダリング運動は遊脚期における膝関節屈曲角度の増加と大腿直筋の過活動の抑制の効果,電気刺激療法は麻痺筋の筋力改善と随意性の向上が示されている.これらの実施によりstiff-knee gaitと内反尖足が改善され,歩行能力の向上に至った可能性がある.

2021年7月18日日曜日

理学療法士の古賀千尋さんが第43回日本呼吸療法医学会学術集会で発表しました.

 理学療法士の古賀千尋さんが7月3日~4日に横浜で開催された第43回日本呼吸療法医学会学術集会で発表しました.なんと優秀演題に選ばれております.演題発表にあたっては甲南女子大学の間瀬教史教授,甲南医療センターの山本健太先生のご指導をいただいております.おめでとうございます.


古賀千尋 他:上肢で支持した体幹前傾姿勢における呼吸筋活動と呼吸筋仕事量の変化 


本研究では上肢で支持した体幹前傾(姿勢支持体幹前傾姿勢)と直立姿勢における呼吸仕事量(Work of breathing WOB),The pressure time productPTP)の変化を観察し,呼吸筋エネルギ-消費の変化を検討することを目的とした.結果,直立位座に比べ支持体幹前傾姿勢では吸気粘性WOB,PTPが有意に低下した.直立位に比べ支持体幹前傾姿勢は換気を行う上で、呼吸筋がおこなう労力,エネルギ-消費が少なくてよい可能性が示唆された.



2021年6月24日木曜日

理学療法士の三枝信吾さんが第58回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表しました.

理学療法士の三枝信吾さんが6月10日~13日に開催された第58回日本リハビリテーション医学会学術集会で発表しました.


三枝信吾 他:二次性サルコペニアを呈したTrousseau症候群に対して栄養療法と運動療法の併用により自宅復帰に至った一例.


小脳梗塞を合併した卵巣癌の周術期管理により,二次性サルコペニアを呈したTrousseau症候群症例に対して,運動療法と栄養療法の介入結果について報告した.初期評価は,握力右8.5kg/11.5kg,快適歩行速度0.73m/秒,SMI4.4 kg/㎡であった.運動療法では低負荷高頻度レジスタンストレーニングを中心とし,栄養療法では通常の摂取カロリーに加えてBCAAを導入した.また,早期より病棟と連携し自主練習を行った.最終評価では,握力右18.9kg/19.3kg,快適歩行速度1.17m/秒,SMI5.6kg/㎡と改善を認めた.Trousseau症候群は機能予後不良であり,自宅退院となる症例は少ない.このような患者であっても,適切な栄養状態で運動療法を実施することは二次性サルコペニアの改善に有効であると考えられた.

2021年6月14日月曜日

理学療法士の田口晶さんが第46回日本脳卒中学会学術集会で発表しました.

当院の理学療法士,田口晶さんが3月11日~13日(web:3月11日~4月12日)に開催された第46回日本脳卒中学会学術集会で発表を行いました.


田口晶 他:回復期脳卒中患者における栄養状態と機能予後の関係.


回復期脳卒中患者の低栄養の有無を,低栄養診断国際基準として発表されたGlobal Leadership Initiative on MalnutritionGLIM)基準を用いて診断し,退院時の機能予後との関連を調査した.機能予後はFunctional Independence Measure(FIM)運動項目を用いて発症30日と退院時で評価を行った.低栄養は全体の26.6%に生じた.低栄養を有する者は退院時のFIM運動項目が優位に低値であり,低栄養の有無はFIM運動項目に独立して関連した. GLIM基準で診断した低栄養は退院時FIM運動項目に関連することが示唆された.

2021年3月23日火曜日

理学療法士の野口まどかさんの論文が国際誌「Archives of Gerontology and Geriatrics」に掲載されました.

 理学療法士の野口まどかさんの英語論文「Relationship between pre-stroke frailty status and short-term functional outcome in older patients with acute stroke–A mediation analysis-」が国際誌「Archives of Gerontology and Geriatrics」に掲載されました.日々の忙しい臨床の中で時間をかけて蓄積したデータです.是非ご一読ください.

Noguchi M, Kubo H, Kanai M, Nozoe M, Shimada S. Relationship between pre-stroke frailty status and short-term functional outcome in older patients with acute stroke–A mediation analysis- Archives of Gerontology and Geriatrics. 2021 (in press)

脳卒中発症前のフレイルとNational Institutes of Stroke Scale(NIHSS)による重症度,在院日数,急性期病院退院時のmodified Rankin Scale(mRS)の関連を調査した.脳卒中発症前からフレイルを有していた群は重症で在院日数が長かったが,短期的な機能予後(急性期病院退院時のmRS)との関連は認めなかった.NIHSSおよび在院日数は,独立して短期的な機能予後と関連していた.媒介分析では,脳卒中発症前のフレイルと短期的な機能予後は重症度と在院日数によって媒介されていることが明らかとなった.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0167494321000339?dgcid=author

2020年12月29日火曜日

理学療法士4名が今年はオンライン学会で発表しました.

今年は学会が軒並みオンライン開催となる中,4名の理学療法士が第45回日本脳卒中学会学術集会および第18回日本神経理学療法学会学術大会で発表を行いました.理学療法部門の今年の発表数はこの4演題でした.新型コロナウイルスの蔓延が一日でも早く収束し,普段の日常に戻ることをお祈りいたします.ご指導いただいた多くの先生方,誠にありがとうございました.来年もどうぞよろしくお願いしたします.


【第45回日本脳卒中学会学術集会】

古市あさみ 他:回復期脳卒中患者における歩行自立度と身体活動量の関連.

 回復期脳卒中患者の歩行能力に応じた身体活動量(平均歩数)の参考値を算出し,歩行自立度とPAの関連を調査した.歩行自立度の評価はFunctional Ambulation CategoryFAC)を用い,FAC5:歩行自立,FAC4:平地歩行自立,FAC3:歩行監視,FAC2:歩行軽介助、FAC1:歩行重度介助に分類した.平均歩数の参考値はFAC58049歩,FAC45039歩,FAC32658歩,FAC22147歩,FAC11062歩であった.平均歩数はFAC5FAC41と比較し有意に多く,FAC4FAC31と比較し有意に多かった.これらの数値は理学療法時の目標設定や歩行自立判定に有用である可能性がある.

  

加茂亜里沙 他:急性期脳卒中患者の病前自立度が離床状況と在院日数に与える影響.

 脳卒中発症前の自立度が急性期脳卒中患者の離床状況と在院日数に与える影響を検証した.対象は20194月から9月までに当院に入院,入院時modified Rankin Scale(mRS)≥3であった例.在院日数,病型,併存疾患有無,重症度(NIH Stroke Scale(NIHSS)),離床開始日などを抽出し,発症前自立群 (mRS≤2),非自立群 (mRS≥3)2群に分け,対応の無いt-検定もしくはχ2検定を用いて比較した.また,病前自立度が在院日数に与える影響因子について重回帰分析を行った.発症前から介護を要する急性期脳卒中患者は,神経症状が重症化し,離床は遅延する一方,在院日数に関しては短縮させる影響があることが明らかになった.


【 第18回日本神経理学療法学会学術大会】

久保宏紀 他:回復期脳卒中患者における身体活動量と運動機能との関連.

 回復期脳卒中患者における身体活動量と運動機能の関連を歩行自立群と非自立群で調査した.身体活動量の指標は平均歩数を用い,運動機能は下肢のFugl-Meyer AssessmentFMA),Berg Balance scaleBBS),6分間歩行(6MWT)を用い,歩行自立度はFunctional Ambulation CategoryFAC)にて判定した.すべての対象者の解析では身体活動量は歩行自立度と6MWTが関連した.一方で歩行自立群では6MWTが身体活動量と関連し,歩行非自立群ではBBSが関連し,歩行自立度により身体活動量に関連する因子は異なることが示唆された.


桝矢璃央 他:入院中の亜急性期脳卒中患者における光学式心拍計測装置を用いた身体活動量測定の信頼性.

 脳卒中患者の身体活動量測定に対して光学式心拍計測装置を使用した試みが報告されているが何日間の装着が必要かについては報告されていない.本研究では,入院中の亜急性期脳卒中患者を対象に腕時計型光学式心拍計測装置を用いた身体活動量測定に必要な日数を検討した.測定期間は9時から17時の間で連続3日間行った.理学療法実施中は2日以上の測定で高い信頼性が得られたが,作業療法実施中やリハビリテーション以外の時間では十分な信頼性は得られなかった.理学療法中の身体活動量測定には最低2日間の測定が必要であることが示唆された.

理学療法士の三枝信吾さんの症例報告が理学療法学に掲載されました.

 三枝信吾 さんの症例報告「 二次性サルコペニアを合併したTrousseau 症候群に対して栄養療法と運動療法の併用により自宅復帰に至った一例」が日本理学療法士協会の雑誌「理学療法学」に掲載されました.日々の臨床を 丁寧にまとめた内容になっております.是非ご一読ください. 二次性...